※臨也さん津軽のマスター設定 俺のマスターは自身の好意に対し物凄く鈍感だと思う 「なぁ俺ってシズちゃんの何処が嫌いなんだろ?」 俺をまじまじ見つめながら随分今更な疑問を投げかけてきた そんなこと俺が知るわけがないだろう 生まれてこの方コイツと波江としか接触がない、情報屋事務所の隣にある、だだっ広い部屋でコッソリと……(臨也曰わく)飼われてるんだ 幾ら己のベースになったとは言え面識のない人物の事で訊かれても困るというもんだ しかも相手の感情ではなく自身の感情について、なんて 「……出逢った瞬間から大嫌いなんだろ?」 「うん、そう……でも具体的に何処が嫌いなんだろーって津軽見てたら分かんなくなっちゃってさ」 どういうことだ?と片眉を上げると臨也は心底不思議そうな顔をして俺の頭から爪先まで順に見ていく 「俺は……シズちゃんの癖に綺麗な蜂蜜色してる柔らかそうな髪が嫌いだけど」 その髪が全部抜け落ちたって別に構わないし 「シズちゃんの癖に無駄に整った顔とかグラサン似合うとことか嫌いだけど」 その顔が潰れちゃっても別にどうってことはない 「シズちゃんの癖にヤケに格好良くて心地良い声も嫌いだけど」 その声が枯れたってシズちゃんに気付かない事はなくて 「シズちゃんの癖に均等のとれたスタイルとか逞しい腕とかすらっと伸びた足とかも嫌いだけど」 その全てが変わってしまっても俺の気持ちは変わらない 「シズちゃんの癖に男らしい大きな手なんて大嫌いだけど」 それが無くなっても…… 「キレてない時は温厚で真面目で不器用で浮気性よりタチの悪い天然フェミニストで……でもきっと一途なとことか……やっぱり優しい性格とか本当死ねばいいと思うけど」 一度それを嫌いだと思ってしまった以上、もうこの先なにがあろうと嫌いなんだろう 「ぶっちゃけ存在自体気に食わないんだけど、たとえあの存在がこの世から消えたって俺はずっと嫌い続けると思うんだ」 だから 「何処も彼処も嫌いなのにそれら全部を失っても直しても、俺はシズちゃんを嫌いで……」 わからない 平和島静雄の 何を見て 何を聞いて 何を感じたら 大嫌いだと思うのか 「それになにより見た目も中身もシズちゃんソックリな津軽に対して何とも思わない」 君の事は嫌いになれると思ってたのになぁ…… と、少し残念そうに言った 「ねぇ津軽、俺はいったいシズちゃんの何処が嫌いなんだと思う?」 訂正しよう 俺のマスターは自身の好意に対して凄く鈍感であると同時に 酷く無神経だ 「俺には解らないから、今度本人に訊いたらどうだ?」 「えー?シズちゃんが俺の話まともに聞いてくれるわけないじゃん」 「いや、この話はちゃんと聞くと思うぞ?(ていうかそんなに仲悪いのか?)」 「津軽はシズちゃんをよく知らないからそんな事言えるんだ!」 end |