※津軽島とサイケたんの設定がフリーダム・意味不明・キャラ不明







朝起きると隣に寝ている筈のサイケがいなかった
普段起きるのは誰よりも遅いのに……っていうか家にアイツの気配しなくない?

「大変!大変だよ!ツガちゃん!!」

焦った俺はサイケとは反対側に寝ている津軽を揺すり起こした
混乱してついシズちゃん風に呼んでしまったが許してくれ

「五月蝿い、なんだツガちゃんって初めて聞いたぞ」
「うん、初めて言ったもん」

くわっと欠伸をしながら怠慢に上半身だけ起き上がる津軽
朝日に照らされた髪とか瞳がキラキラしてて、シズちゃんと同じ顔の癖にかっこよくてドキッとしてしまう

「朝から甲高い声出すなよ……頭痛い」
「アンドロイドの癖に頭痛を訴えるな!!」
「お前それ差別だぞ?全アンドロイドに謝れ」
「全アンドロイドって森厳さんの話じゃお前らこの世に二体しかいない……」
「それはそうとなんか用か?」

はぁ?シズちゃんと同じ顔の分際でなに人の話遮ってんの?てか、まだサイケがいないって気付かないの?愛が足りなく無い?
でも本当こんな下らない会話続けてる場合じゃないんだ

「……サイケがいなくなったんだよ!!」
「…………」

津軽は数秒間頭を真っ白にさせたようで

「お前それを早く言えよ」

ああコイツもうマジ殺したい……声も態度もマジ殺したい程ムカつく
だがシズちゃん以外は殺さない、これからうっかり死に追いやっちゃう事はあるかもしれないけど、自分の手では殺さないと心に堅く誓っている
いや、殺人鬼や暗殺者を批判する気はないんだけどね(ただし美少女に限る)
愛する人間を殺すとか有り得ないじゃない?人は生きてるから面白いんだよ、それはアンドロイドも同じ

「って、現実逃避してる場合じゃない!!サイケ捜すよ!!どうせ君にはサイケセンサーとか付いてんだろ!?」
「いや……そんな機能は搭載されてない」
「……付いてない、だと?」

なんだそれセンサーも付いてないなんてサイケの彼氏失格だ
いや、俺ならそんな機能付いてる彼氏願い下げだけど……サイケみたいな危なっかしい子の彼氏ならセンサーくらい付けとけよ!と思う


「ああ、もう!こんな事してる場合じゃない!!さっさと着替えてサイケ捜し行くよ」
「当然だ」



♪ ♪ ♪



私とゆまっちは今日も今日とて書店で電撃文庫を買いあさっていたんだけど

「ねぇ?ゆまっちーあれイザイザじゃない?」
「あ、本当だ……でも折原さんが本屋にいるなんて珍しいっすね」
「それになんか何時もと雰囲気違うくない?服も真っ白だしピンクのヘッドホンしてるし、なんかコスプレみたいだね」
「あれ本物っすか?めっちゃ写メ撮られてんのに気付いてないっすよ?」

効果音とフラッシュたかれまくりでお店はイイ迷惑だよね

「双子?偽物?ドッペルゲンガー?」
「なんすかその萌え設定」
「まぁ多分本人が変装してるだけだろうけど」

なんて話してても埒があかないので私達はイザイザに声を掛ける事にした

「ねぇイザイザー今日なんでそんな格好してんの?」
「変装だとしたら余計目立ってるっすよ」

肩に手をおきながら言うとイザイザは振り返った

「ふぇ?イザイザって??」

……イザイザが「ふぇ?」とか言って小首を傾げた?
いや可愛いけど、可愛いけど、可愛いけれどー!!?

「あれアンタ折原臨也でしょ?」

あまりの衝撃に謎の興奮を覚えている私より若干落ち着いているゆまっちが聞いてくれた
するとイザイザは驚いた顔をして

「お兄ちゃんとお姉ちゃんイザヤくんの知り合いなの!?」


お兄ちゃん(エコー)
お姉ちゃん(エコー)


「はいぃ!?」

イザイザが私とゆまっちをお兄ちゃんとお姉ちゃんって呼んだ!?いやいや貴方年上だし……でもお姉ちゃんか……いいな
隣のゆまっちは案の定どっかの世界にトリップしていた……多分ゆまっちの頭の中では男の娘なイザイザにお兄ちゃんって呼ばれてるんだろう

「っていうか君、イザイザじゃないの?」

そういえばよく見ると顔つきがイザイザより幼い、喋り方も子供っぽいし

「うん、俺はサイケっていうの!」

イザイザモドキは本人に負けず劣らず変な名前だった

「お兄ちゃんとお姉ちゃんは?」

いや、名前とか良いです……お兄ちゃんとお姉ちゃんって呼んでて下さい



かなり目立ってしまった私達は場所を喫茶店に移してサイケたんの話を聞くことにした

「じゃあ君はイザイザの家で津軽って子と一緒に秘密で育てられてたけど」
「折原さんが最近さみしげだから何か元気が出るプレゼントを買う為に街に出てきたんっすね?」

イザイザとは違う種類でサイケたんはお喋り……というか脈絡のない話が多かった
そんなサイケたんから今まで聞いた話を二人で纏めるとスプーンをくわえたまま頷かれた
ちなみにサイケたんが頼んだのはクリームソーダ……どうしよう……可愛い

「それで?本屋さんで何を探してたの?」

本をプレゼントしたいなら私達にも協力できることはある
イザイザ好みの本ならドタチンのが詳しいかも知れないけど

「えっとねぇ“静茶”」
「……ん?」

作家?本の名前?聞いたことないけど……

「俺が探してたのは本じゃなくて“静茶”だよ」

……なんで書店にいたの?

「ゆまっち静茶って聞いたことある?」
「さぁ?静岡県産のお茶かなんかっすかね?」

静茶……静茶……あれ?なんかどっかでそれと似た響きを聴いたことあるような……?

「サイケたんは何でそれを買おうと思ったんすか?」
「イザヤくんが欲しがってたから」
「折原さんが?」
「本当に?」

イザイザ物欲はあんまり無さそうなのになぁ……それに物なら欲しいって口に出す前に手に入れてると思う

「本当だよ!だってイザヤくん寝言で泣きながら『静茶……もっと……』って言ってたもん!!」
「「……」」

サイケたんが声真似までしてくれるもんだから、私には解ってしまった
ゆまっちも無言ってことは多分ゆまっちの脳裏にも同じ事が浮かんでる

そっか……“静茶”じゃなくて……
くっ……イザイザ……夢の中でまで……!!?

「泣きながらっていうより鳴きながらの間違いっすよね?」
「ブハッ……」

ゆまっちがナイスなこと言うもんだから思わず噴き出してしまった

「???」

頭の上に沢山疑問符を浮かべているサイケたんにニヤニヤすんのを抑えながら語りかける

「解ったよ、君のご主人様の欲しいものも、淋しがってる理由もね」
「ほんと?」
「うん、これから一緒に捜し……ってもうその必要ないみたいだね」

ガターンって大きな音を立てて隣のテーブルの人が立ち上がったかと思うと、それは今し方さがしにいこうとしていた人物で……こっからじゃ見えないけど多分わるーい顔してんだろうなwww
お向かいに座ってた田中トムさんが「やれやれ」といった様子で「今日はもう上がっていいぞ」と言った

「つ……がる?」

“静茶”もとい“シズちゃん”を見て、サイケたんが何か呟いたけどよく聞き取れなかった

「ねぇ静雄、もし暇ならこの子をご主人のとこまで届けて欲しいんだけど」
「ああ、いいぜ?」

ヤバい……今のシズちゃんの表情、男らしくて超絶にカッコイイ

「え?でもまだイザヤくんへのプレゼントが……」
「いいからいいから、イザイザの欲しいものはそのお兄さんが持ってるんだよ?」
「へ?そうなの」
「そうだ……正確には俺しか持ってない、だな」
「キャー!シズちゃんカッコイイ!!」
「頑張って下さいっす!!」
「……明日の仕事、遅れずに来いよ」

三者三様に声を掛けてシズちゃんとサイケたんを見送った後

私は急いでイザイザへのメールを打つ

[サイケは私達が無事保護したよ(^-^)今から送るから家で待ってて]

明日イザイザから何て怒られるかなぁ?ふふっ楽しみだなぁ



「送信完了♪っと」