メンバー:デイダラ・サソリ母・クシナ・ミコト
トークテーマ:料理(意外にも料理ができるデイダラとママさんズが料理について語り合う)

※1ママさんの指定がなかったのでクシナさんとミコトさんにしました。またもや対談とは少しずれています。
※2馴れ初めシリーズあの世編設定ですが読んでなくても問題ないです。




これを見ている人間の中に『恋人とのデート中に自分の母親が嵐のように現れて、嵐のように恋人を攫って行った』経験がある奴はいるだろうか?恐らくないだろう
きっと百人に訊ねたとしてもそんな事例はまず見当たらない、千人に一人ならいるかもしれないが……まあ、だからなんだという話だ
とにかく、今しがたその滅多に味わえない経験を味わってしまった俺は、とりあえず二人を追いかけることにした
しかしあの人が関わった時点でもう予定通りのデートは出来ないだろうな(デートと言うには微妙な買い出しだがデイダラはデートと言いはる)



《サソリの両親の家》

「あの……お義母さんコレはいったい……」

最愛の人とのデート中にその人の母親に攫われてしまった
オイラには攫われの相でもついてるんだろうか、女難の相みたいなのが……

「へーこの子が噂のデイダラ君ねー」
「あらやだ可愛い」
「……えっと、初めまして」

初対面の女二人からジロジロとみられて気分が悪い、いつもならキレているとこだけど旦那のお母さんの手前そんなことも出来ないし
そろそろ何か説明してくれてもいいんじゃないだろうかとお義母さんの方をチラリと見ると

「いやー実はね」

ニコリと笑いながらお義母さんは説明を始めた
それによるとなんとこの二人は木ノ葉の人柱力とうちは兄弟の母親らしい、そういえばミコトって人はイタチとどことなく似てるな
てことは髪が赤くてテンション高いクシナって方が人柱力の母親か……うん、似てる……この人とお義母さんはは最近仲良くなったんだとか

「でね、主婦が三人も集まるとどうしても家族の話になっちゃうじゃない」
「はあ」

オイラ主婦じゃないからわからないけど……まあ旦那の話はよくする(家族じゃないってのはわかってるんだけどな)

「いつの間にか子どもの自慢大会みたいになっちゃったんだけど」
「はい」
「その中で「ウチのサソリには若くて料理上手の嫁がいるのよ!」って言っちゃって」
「はあ!?」
「そしたら……」
「旦那に若くて料理上手の嫁がいるなんて初めて聞いたぞ!?誰だソイツ!?」
「ちょ!デイダラ君おちついて!」

オイラが急に詰め寄ったからお義母さんは吃驚していた
敬語まで忘れてる

「すみません……でもそんな人いるなら早く言っておいて欲しかったです」

ったくもう、なんだよオイラじんわり涙が浮かんできた
そっかオイラに隠れて嫁なんて迎えてたのか旦那、そうだよなぁ旦那の両親にしてみりゃそっちの方がいいもんな

「えっとデイダラ君?なにを勘違いしてんのか知らないけど……」
「ごめんなさい……でも……絶対に邪魔しません、ですからオイラも旦那と一緒にいちゃ駄目ですか?」

自分でもなに言ってんのかわかんなくなってきた
オイラは不安そうに訊くとお義母さんは何故か赤面して……そのうち目をキラキラさせだして

「ああああ!!やっぱりウチの嫁は最高よ!!!見て!この顔!今のセリフ!!!ああああ可愛い可愛い可愛い」
「……え?」
「どうしようクシナ……目の前でどんどん友達が壊れてく、私にはどうすることも出来ないのか」
「いいじゃない、嫁いびりするような姑になるより」

そんなお義母さん達の話を聞いてオイラの頭は大混乱状態だった
え?まさか嫁ってオイラ!?嫁って普通女のこと言わねえ!?いやそんなことよりも嫁って所謂ひとつの家族の一員だよな?
そりゃ旦那を旦那だと思ってるし旦那のお母さんだからお義母さんって呼んでるけど……そんな風に認められてたなんて

「いいの?」

思わず聞いてしまったオイラにお義母さんがこれ以上ないってくらいの笑顔で頷いて感激してんのを見て、この人ほんとに旦那の母親なんだろうかって改めて疑問に思った
嫁って言われるのは不本意だし正直イヤだけど、この人から家族みたいに思われてるならまあそれくらい気にしないでいられるかな、うん



《台所》

男女問わず才色兼備が多い事でお馴染みうちは一族のミコトです
優秀な人材が多い事でお馴染みうずまき一族のクシナだってばね
えー、サソリ君の恋人さん(この人曰く嫁らしい)が今から手料理を振る舞ってくれるらしいです
最初はサソリ君を置いて来てるからと断ってたけど姑の口車にまんまと乗せられてしまった感じね

「楽しみだわー私こうして息子のお嫁さんと一緒に台所に立つの夢だったの」
「はあ……」

なんかデイダラ君嬉しそうに見えて実は納得してないですよって顔してるんだけど
そりゃあいくら好きな人の母親からとはいえ嫁って言われて喜ぶ男はいないでしょ

「なに作ろうかしら?」
「えっと……あ、の……お義母さん?」
「んー?なぁに?」
「えっと折角なので、だサソリさんの好きな料理を教えてくれませんか……うん」

旦那と言いかけて「だサソリさん」になったわね、まるでサソリ君がダサいみたいな
語尾になるにつれて声が小さくなるのが可愛いわね……意外と恥ずかしがりなのかな

「あら?それはデイダラ君の方が詳しいんじゃないかしら?」
「いや旦那ずっと傀儡だったので物を食べてるとこ見た事ないんですよ……オイラも結構食には無頓着で好きな食べ物の話とか旦那としたことないし」
「まあそれは人生損してるわねー……デイダラ君もサソリに気を使ってあまり食べ物の話題を出さなかったんでしょ?ごめんねぇ」
「別にそういうわけじゃないんですが!あ、じゃあ小さい頃好きだった食べ物は」
「あの子意外となんでも好きよ?デイダラ君が作ったものだったらなんでも喜んで食べるんじゃないかしら?」
「……そうですか」
「ん?どうしたの?」
「アンタ、さっきから嫁で遊び過ぎよーデイダラ君そんな恥ずかしがってるのに」
「ただでさえ知らない女の人(しかも美人)の前で萎縮しちゃってんのに……ごめんね」
「あ、大丈夫ですよ!オイラほんと」
「んーデイダラ君は私達家族の前以外だともっと堂々としてるらしいんだけど」
「う……そんなこと誰が言ったんですか?」
「角都さん」

そう答えた瞬間デイダラ君の包丁を持つ手に力が入ったのを私とクシナは見逃さなかった
「余計なこと教えやがって」って心境か……これはもう角都さんの無事を祈るしかないね



《数時間後》

あれからデイダラ君の料理をみんなで食べて(お世辞抜きで美味しかった)ミコトとクシナが帰ったあと、私と二人きりになったデイダラ君はどこかそわそわしていた
家に来るといつもこう、借りてきた猫みたいに大人しくなるのが可愛いんだけど少し寂しいかなって思う
だって角都さんの話じゃこの子まだ私達に嫌われんのが怖いみたいだし

「あーデイダラ君の料理美味しかった〜噂には聞いてたけどねえ」
「それも角都に聞いたんですか……?」
「そりゃ貴方の料理の味を知ってるの角都さんだけだもの、今日で私達三人も加わったけど」
「……そうですか」
「サソリに美味しいごはん食べさせる為に頑張ってるんですってね!聞いた時なんか感動しちゃったわ〜私にもそんな時期があった」
「お義父さんと付き合ってた頃ですか?」
「そうそう!チヨバア様が料理上手だったからあの人きっと料理上手な女が好きだと思ったの」
「へえー」
「張り切りすぎちゃって練習台になってくれた家族とか友達から「太ったどうしてくれんだ」って苦情がきて」
「ああ!わかります!オイラも角都やヒルコの旦那達から同じこと言われました」
「でも他人からいくら美味しいって言われてもやっぱり本命に食べてもらう勇気は湧かなかったわ」
「そうそう口に合わなかったらどうしようとか色々考えちゃって」

今、笑ってるデイダラ君は何も繕ってない素の状態みたいで私は嬉しかった
緊張してるデイダラ君も可愛いけどやっぱりニコニコ楽しそうに喋ってた方が可愛い
私達にちょっとずつでも心許してくれてんのかしら

「サソリは幸せよね」
「え?」
「貴方が傍にいてくれて幸せだったと思うわ」
「……」
「ありがとう」

段々と西日が差していく部屋の中で、デイダラ君がまっすぐコチラをみたまま固まってしまった
ゆっくりと瞳だけが揺れている……これは嬉しがってくれているのよね

「あの……挨拶に来た時、オイラ何も準備してなくて上手く話せなかったんですけど」
「ふふサソリから無理やり攫われてきたみたいな感じだったもんね、仕方ないわよ」
「オイラやっぱれ攫われの相でもあんのかな?」
「そうかもね」

デイダラ君は少し笑った後、急に大人びた表情に変わり私を一瞬ドキッとさせた

「オイラ料理もですけど掃除とか他の家事も、ちゃんと出来るようになるので」
「ええ……」

ていうかもう既に出来てるって聞いたけど

「だから、えっとサ、サソリさんと……」
「ん?」
「サソリさんの……」
「……」

コレはもしかしなくても「息子さんを僕に下さい」の流れかな?
普通こういうのってサソリの方がむこうの親御さんにするんじゃないかな
でもデイダラ君のご両親こっちにいないし

なんて思っていると

「ちょっと待て」
「え?」
「……サソリ」

今まで隠れていたっていうか結構前に私達を追いかけてきたけど、なんか知らない人間が二人もいたから面倒くさくなって違う部屋で二人が帰るまで待ってたであろうサソリが現れた
まったく、母親の友達に挨拶くらいしなさいと思うけど、ミコトとクシナはなんか色々根掘り葉掘り聞いてきそうだもんね……サソリの性格考えたら顔を見せたくない気持ちわかる

「旦那?」
「そういうことは俺に言わせろ」

デイダラの手首を掴んで制止させていたサソリが、自分の手とデイダラの掌を結んだ
そして私の方を見て

「母様、改めて紹介します……俺の交際相手のデイダラです」
「はい」
「……」

サソリを見て目をまんまるにさせてるデイダラの目線を私へ向くようにジェスチャーして見せるサソリ
それに素直に従ったデイダラと此方へ向き直したサソリの四つの目に見詰められた私は息を飲む

「コイツとは結婚できないことも子供もできないことも解ってます……けど俺にはコイツしかいないから」

綺麗な四つの宝石が並んで、夕日に照らされてキラキラと輝いている



「コイツとずっと一緒にいさせて下さい」


我が子ながら恥ずかしいけど
そうハッキリ言いきったサソリは最高に素敵な顔をしていた


そりゃあもう

隣にいたデイダラ君が卒倒しちゃうくらいにね



おしまい




すみません、対談というよりなんかただの会話文多いだけの散文になりました
あと母親ーズの性格がこんな感じですみません……なんか旦那のお母さん明るい人がいいなって……
そして料理トークあんましてなくてすみません(管理人が料理に詳しくない結果こうなりました)
リクエストありがとうございました