休日。目が覚めたら君に無性に会いたくなったんだ。
理由をつくるんなら今日が休日だから。あと、外が晴れてるから。おまけに空が青くて雲が白いから!




休日のすごしかた




ごろん。

寝返りをうって枕元にある携帯に手を伸ばして、カチカチ、着信履歴画面を出す。

…ムッ。

電源ボタンを押す。カチリ。
同じ名前と番号ばかりが映る着信履歴がかわいいパンダの待ち受けに戻って、カチカチ、今度はリダイヤル画面。

…ムムムッ。

変わらない。何ら一切変わらない。いやいや、日付と時刻は違うけどそんなとこは全然重要視するとこじゃないじゃん?
オレってばこの11桁にこんなにラブコールしちゃったの?ちくしょー、なんか負けた気がする、別に張り合ってないけどさ。
観念して見慣れた電話番号をポチリ。きっとお互いが料金を請求しあったら若干オレの方が多いんだろう。その分オレの着信画面より彼の着信画面の方がひどいことになってるんだろう。
ご愁傷様、鬼男君。

ルルルルル

あー、セミがうるさい。外出たくないけどずっとゴロゴロしてたらカビそう、蒸れて。

ルルルルル

かき氷食べたいなぁー、冷蔵庫になんか冷たいの入ってるっけなぁー。アイス、鬼男君アイス。オレアイス食べたい。

ルルルルル

できればなぁー、スイカバーかなぁー。あー、もうキンキンに冷えたスイカが食べたい!

ルルルルル

鬼男君オレに救いの手を…もうダメあついぐあぁぁーアイス食べたいよぅ鬼男君クーラークーラースイカーセミうるさいうちわほしーい花火したいなぁー

ガチャ

『大王?』

「…夏祭り」

『はい?』

ベッドと身体の隙間に風が入るようにジタバタしながらもんもんと考えていた連鎖が頭の中でカシャコンと固まった。
夏祭り。うん、そう、夏祭り。涼しいイメージ。

「夏祭り行こう鬼男君」

『これまた…突飛な』

「夏祭り。あ、鬼男君オレスイカバーね」

『…大王、お願いですから僕にもわかるように文章を作ってからしゃべってください』

あ、ごめんね。いやね、セミがうるさくてアイスが食べたくなったから冷えたスイカと花火なんだよ、で夏祭り。
かいつまんで説明したらタメイキが聞こえた。受話器ごしだとボワワッてカンジ。

『えーっと、要するに冷たいおみやげを持って来い、そんでもって夏祭りに一緒に行こうよって話でいいんですよ、ね?』

「うん、そう鬼男君行こうよ夏祭り」

もういっかいボワワワワッ。さっきより大きいやつ。

『寝ぼけてます?』

失礼な!

「寝ぼけてないわい。暑くてとろけてんるだけだもん」

だから、アイスー。

『わかりましたわかりました。コンビニ寄ってきますから部屋涼しくして待っててください』

あきれ気味に電話を切られちゃってもオレは満足したからにやけちゃうよ。ふふ、やっさしいなぁ鬼男君。

そーゆーとこ全部ひっくるめて君のことがだいだいだいすきなんだよー、オレ。



1人ベッド上で気が済むまでにやにやして、冷蔵庫の中の冷えた烏龍茶を飲んだらやっと眠気とかがいなくなってくれた。
あー、あつい。クーラーのリモコンをピピッと押して最低温度にする。外はもっと暑いはずだからね、鬼男君が入ってきたときちゃあんと涼しいように設定。今来ても全然涼しくなんかないけどさ、早く来てよ。アイス食べたいけど、とにかく夏が似合う君にあいたいよ。


渡した合い鍵ががチャリと鳴るまでオレのはーとは君のもんだよ、鬼男君。















にゅあぁぁぁぁぁ〜
なんですかこの可愛らしい閻魔は!言動やら思考回路やら最高です!
鬼男くんも萌え…やさしいなもう!
夏って感じもまたいい、冥界組には夏が似合いますね(ぇ)
ほんとありがとうございます