※物凄い捏造です。どんな展開になろうと許せる人だけご覧下さい。 無条件に差し出された生にオレが与えられるものはあるのだろうか それ以前にこの人がくれる同じ価値のものをオレには返せる自信はなかった 「閻魔がどこにも行かないなら返す必要はないよ」 言花が呪いのように落とされる こんな未熟なものに圧倒される敗北感と心臓に杭を打たれたようなビリビリとした高揚感 「でも僕から離れるつもりなら返してよ。それまでアンタを何処にもやらない、」 ほら、君はそうやって、束縛しているのはオレの方なのに……まるで逆みたいな言い方をする 「僕はアナタだけの為に人間をやめるんだからアナタは責任もって僕のものになりなよ」 「そういう訳には……」 「心の中までは誰も侵せないよ」 どんな立場であっても想うだけなら自由だと、そう言ってくれる さすが時の朝廷に喧嘩売るような恋をしてきただけはあるなと感心した 「今更だけどこんなことして妹子になんのトクがあるのさ?」 「だから見返りは要らないって……あ」 「なに?」 なにか返せるものがあるのかと期待して顔を上げれば、妹子は昔大嫌いだったのに最近大好きになった表情でオレを見ていた 「一生懸命って言葉があるでしょ?」 「へ?……あ、うん」 「アレって元々は一所懸命って言うんだって」 一つの場所を命懸けで護るって意味だと妹子は言った 「閻魔の傍にいればそういう人になれるんだよ」 「呆れるくらい前向きだね……」 「カッコイイとか思わないんですか?」 まさか そんなことをしたって募るのは愛慕よりも羨望だなんて変なとこ天然な妹子には分かんないだろうね 普段は愛情表現薄い人が開き直ると凄く厄介だから困る 「あのね妹子、鬼になるって事は君がオレのものになるんであってオレが君のものになるわけじゃない……人の心は変わるからオレいつか君を見捨ててしまうかもしれないよ」 かつてあんなに愛した人よりも、今は目の前の妹子が大事なんだ 同じようにいつか妹子を愛せなくなるかもしれない 「鬼が閻魔のものなんて形だけでしょ?こんなにアナタに尽くしてる僕をアナタが蔑ろにする訳ないし、もし違うなら閻魔を嫌いになるだけだよ」 「……バカ」 「お前にバカなんて言われたくないよイカ野郎」 ああ……やっぱりアナタよりお前がいいな、なんて言ったら変態扱いされるだろうね 「これからはオレが上司になるんだから言葉遣いは直してよね、妹子」 「はいはい、こうして姿も変わったことだし新しい名前さっさと考えて下さい。大王」 ったく、慇懃無礼とは君の事だね……でもまぁ 髪も肌も顔だって前とは全然違うものになってしまったけど オレの大切な人には変わりない 「そうだね……鬼に生まれ変わったんなら……」 “鬼男”くん、なんてどうかな? 「…………安直」 「う、うるさいなぁ!!」 ボソッと言わないでよ end あほがき 前から書きたかった妹子が鬼男くんになる話 |