オレはこれから未来永劫を生きるのだから
いつかきっと君がいた時間なんて一瞬に過ぎなかったと思う日がくる
だから『君に出会えて良かった』という想いが『閻魔になって良かった』に結ばれる事はない

君に出逢って恋ができたのはオレにこんな役目を押し付けた誰かさんからの御褒美なんだろう
それとも人間の心を忘れるなという戒めか……どちらにせよ君がオレの為に存在しているのに変わりがない

君を好き
それは真実

でも、その真実を君に伝えるつもりはない

君は絶対オレを拒めない
そういう風に出来ている
今だって自分の意思でオレに仕えてくれている
それが天に仕組まれた事と知らず

好きで好きで好きだから傍にいてほしい
呪縛の鎖がオレの心臓から伸びる
それは願う度に数を増して君を蝕む

気付かれる前に断ち切りたい
気付かれたらきっとオレの鎖で君は沈んでしまう
君はそれを幸せの重みだと笑ってくれるだろう


なんて不平等なことだろう

君にとっての一生もオレには永い時の中の一部にすぎない

好きだからオレの一生すべてを捧げたいのに
それが出来ない


オレの時間が君のソレと同じ価値を持っていれば良かったのに
君がはじめからオレのモノじゃなければ良かったのに
そしたらもっと単純に君を好きでいられたのに

もしもオレに出逢わなかったら
君はもっと幸せになれた筈なのに

ごめんなさい

今はただ悔いるだけの日々



君はオレより弱いのに
けして敵わないのに
好きになってしまった
傍にいたいと願ってしまった

そして愛してしまった


君の意思を無視して
君の世界を勝手に廻してしまった


もう止まらない
限界が近づく


もう一度この口が開けば
きっと君に告げてしまう





「……鬼男くん……あのね、」





告げてしまえば


それは


オレ達にとって



永久を凌駕する一瞬だった