密罪を三つ積み(R-15)

昔出逢った旅人に、この世で一番楽しい場所は何処だと尋ねた
旅人は「一番楽しい場所は知らねぇけど、この世で一番の『絶景』なら好きな奴の『絶頂』だな」と答えた
旅人は「子ども相手になに言ってるんだよ」と、一緒に旅をしていた相棒から肘鉄をくらっていた
その時はその人が何故怒られているのかわからなかったけど、今なら自分も同じように怒るだろう
ああでも、好きな奴の『絶頂』か、見てみたいと思わなくもない


ニャンニャンニャン


両親不在の夜、十四松とトド松はチョロ松に無理やり起こされ布団の外で正座をさせられ、彼の昔話を聞かされました。

「というわけで長男・次男・四男に眠り薬を盛りました」
「なにが「というわけ」なんだよ、兄さん達が寝てる間に地震とか火事とか起きたらどうすんの」
「デカパン博士特製の薬で好きな人がキスしたら目覚めるって仕様だから大丈夫」
「なにその無駄にロマンチックな薬」

でも、カラ松兄さんの傍でただのんびりしたい時とか使えるかもねーーと、睡眠薬に興味をしめした末っ子に三男は得意げに笑った。

「そんなわけで、今日こそはこのクソ長男のイク時の顔見てやろうと思ってるんだ」
「寝てる隙に!?犯罪だからヤメテ……っていうか見たことないの?いつもバック?」
「違うけど、部屋は薄暗いし兄さんが覆いかぶさってるから暗くてよく見えないんだよ、あと兄さん名前のとおり遅いから兄さんがイくときって既に僕が何回かイったあとで……正直そんな余裕がない」
「なに赤裸々に語ってるの?どうしたのチョロ松兄さん」

暫く話を聞いてみたが、やはり様子が可笑しい三男に、末っ子は戸惑いながらも訊ねた。
すると、三男はポケットから空き瓶を取り出す。

「いつものプライド高い僕のままだとお前らに説明できないから僕もこの「素直薬」ってのを飲んでる」
「体張ってるね兄さん」
「正気に戻ったら軽く死ねるやつだと自分で思う」
「チョロ松兄さんからライジングを引くとオープンスケベになるってこと?」

どっちにしても碌でもない兄だなとトド松は思う。

「で、なんでボクらまで起こされてんの?」
「ほら全員に薬盛ったら起こせなくなるじゃん、お前らなら口止めも可能だと思って」
「つまりカラ松兄さんと一松兄さんを起こす係として薬は盛らないでおいたと……」
「そう、あと十四松たちはまだやったことないだろ?いろいろ教えとこうと思って」
「へ!?」

と、今まで発言を慎んでいた五男は突然自分の話になり驚いて飛び跳ねてしまった。

「教えるって何を?」
「ハッ……うぶなねんねじゃあるまいしこれまでの話の流れで解かってんだろう?」
「うぶなねんねって実際使った人はじめて見たよボク、あと十四松兄さん話の流れとかあえて無視しちゃう方だから」
「……えっと」

十四松とはいえ六つ子の一員、下いネタもエロいネタも普通に好きだ。
AVも観るしおっぱいは大好きだ。
けれど、そういう話の主体になることはなかったので話を振られて若干引いている。

「ああでも……兄さん達なんか心配だから教わっておいたほうがいいかもね」
「そうだよ、いつきてもいいように知識だけでももっといた方がいいと思うんだ」
「流石に初体験は二人とも正気のときがいいだろうから見学までだと思うけど」
「僕とおそ松兄さんは酔った勢いだったから別に相手が正気じゃなくてもいいと思うよ」
「……酔った相手に手出したの兄さん……最低」
「ちゃんと二人とも同意だったよ!!その前に告白してたし!!ってお前そんなんだから女友達いるのに未だ童貞なんだよ!!」
「あくまで一般常識ですぅ!!兄さん達こそそんなんだから女友達どころかマトモな友達できないんだよ!!」
「はぁ!?うちの友達みんなマトモだから!!ちょっと異常なくらいコレクター気質でストーカー気質なだけで普通だから!!」
「ストーカー気質な友達ってなんなの!?」

きゃいきゃいと言い争い始めた兄と弟を前に『どうしよう一松兄さん起こして逃げちゃおうかな』なんて思いだした十四松だったが、この暴走気味なチョロ松の前にトド松ひとり置いていくのも忍びない気がする、すると……

「まあいいや、カラ松兄さん連れてコタツで寝とくから全部終わって綺麗に片付けたら教えて」

末っ子の方は兄を置いて出て行く気まんまんだった。
これには身体に無数の矢が刺さった気分になる十四松。

「は?駄目だよお前にはおそ松兄さんのイキ顔カメラで撮影してもらわないと」
「アンタほんっと最低野郎だねぇ!!ていうか何そのカメラいつ買ったどこで買ったいくらで買った!?」
「心配ありがとう、大丈夫これ借り物だから」
「心配してないし!って他人から借りたもんを犯罪に使うなよ!!」
「大丈夫、相手は盗撮のプロだから」
「と!?……ああどうしよう兄さんの交友関係が心配すぎる……」
「勘違いすんなよ、うちの隣で探偵やってる人だから浮気調査のときとかに使うんだよ」
「ご近所さんかよ……今度からどんな顔して挨拶すればいいの……」

ごめんなさい、うちの兄がごめんなさい、と人の好さそうな探偵の顔を思い浮かべながら嘆くトド松にチョロ松は無情にも最新式小型カメラを渡した。
なんとなく撮影方法はわかるし、本体のデータの消し方もなんとなく解かるけど、どうして兄による兄の睡眠姦シーンなんて撮影しなければいけないのだろう、いやだ次男を連れて逃げたい。

「あーーどうしよう、今からヤルと思ったらキスしたい、けどしたら起きちゃうよなあ」
「もうならキスすりゃいいじゃん、忘れてやるからもうやめようよ」
「ヤダよ、弟の前でキスとか恥ずかしいし」
「弟の前で寝込み襲おうとしてる奴がなに言ってんの!?」
「兄さん達ぼくらがいても普通にキスしてないっすか?」

そうだ、チョロ松は厭がっているけれど長男のおそ松はしたくなったら兄弟の前でならキスくらいはする男だ。
その度に(主に四男と六男によって)凍りつく室内の空気をどうにかしてくれないだろうか。

「おそ松兄さんは僕とキスしなきゃ死ぬ病だから、あれは人工呼吸みたいなもんだよ」
「なに言ってんだこのクソ三男」

これがコイツの素直ならもう素直さなんていらない、一生ツンデレでライジングしてろ、とトド松は思う。


「だいたい……なんでボクまで……」
「トッティ、これなーんだ」
「へ?」

チョロ松がまたポケットから封筒を取り出し、その中から三枚の紙を取り出した。

「お前がタダで協力してくれるなんて最初から思ってないよ」
「それって」
「お前がこないだギターがカラ松に似てるって騒いでたバンドのプラチナチケット」
「……え?」

確かに騒いだ。
だがそれは雑誌で見つけた瞬間についテンションが上がってしまっただけで、それ以外このバンドのことは話題に出していない筈。

「こっそりダウンロードしてるし某写真共有サイトでフォローしてるよね?」
「兄さんまたボクのスマホ勝手に使った!?」
「うん、にゃーちゃんもやってるから」
「勝手にフォローしたの!?」

全く悪びれのない三男に先程からツッコミが止まらない、そしてこんな大声を出しても目覚めない兄達は本当に薬が効いているのだなと思う。
それにしてもプラチナチケットなんてどうやって手に入れたのだろう。

「……ちなみに、入手方法は?」
「友達に裏業界と繋がってる奴がいてさぁ、ソイツのツテで手に入れた」
「兄さんのお友達最ッ高!ボクとカラ松兄さんには死んでも紹介してほしくないけどずっと仲良くしててね!!」

こうして協力者を得た三男なのであった。

「さて、とりあえず十四松風呂場いくよ、準備の方法から教えとく」
「えー?我が家の風呂でするの?兄さんが掃除してよ……って、ボクもそれ付き合わなきゃいけない?」
「うん、風呂入ってる間に気が変わってカラ松連れて逃げ出さないように」
「すげえ信用されてない……あとすげえイヤだ……」
「昨日お前らの食事に下剤盛ったから腹ん中スッキリしてるだろ?」
「昼間ずっとお腹痛かったのアンタの仕業か……なんでボクまで」
「そりゃお前も一緒に準備するから?」
「はぁ?やんないよ!?」
「十四松に教えてやれよ、あと僕と兄さんがしてるの見てお前もシたくなるかもしれないだろ?」
「しれなくないよ、万一バレたらカラ松兄さん泣くわ……」

もうヤダ、このオープンスケベ兄さん……良識と常識どこいった……と、自分も結構なクズのくせにそんなことを嘆く末弟であった。
そして万一バレてもカラ松は泣かないと思う。

「……セクロスの前はお風呂入るの?」
「……」

五男の言葉に固まる三男と末弟。
そういえばAVはイキナリ本番だったりするし、男女ものしか観ないから準備もベッドに入ってからするものだと思っているのかもしれない。
口下手な四男では必要性などなど上手く説明できないかもしれないから、こうやって教える機会ができてよかった。

「入るよ、準備は必要だし、汚れてたり汗臭かったりするし」
「え?でもぼく一松兄さんの匂い好きだよ、一松兄さんだってぼくの匂い嫌がらないと思うし、女の子じゃないんだから」
「いまいち解ってないな十四松兄さん、男同士なんだから余計綺麗にしてなきゃ」

今更ながら、そういえば一松と十四松はまだやっていないのだから十四松が下とは限らないのだと気付いた末弟だったが、チョロ松がそう判断して薬を盛ったのだから何かしら意味があったのだろうなと思う。
たとえば自虐的でマゾの気がある四男なら、こんな風に事前に教えたことを守らず五男の望むままに動いて怪我をするかもしれない、だから三男はまず五男に知識と痛みを覚えさせようと考えたのかもしれない。

(そうだよ、二人が傷付かないようにちゃんと教えないと)

謎の使命感に目覚めたトド松は腹を括って十四松へ向き合った。

「ていうか十四松兄さん、気分盛り上げる為の香水とかならまだしも違う場所や違う生き物の匂いが付いたまま抱かれるとかイヤじゃない?」

セックスの時は自分のことだけ感じてほしいでしょ?
と、どこか妖艶な雰囲気を纏わせて語りだした弟に一瞬驚いたチョロ松だったが、すぐに便乗することにした。

「そうそう、それに匂い落としてから抱かれたら全身に一松の匂いが移るんだよ?十四松」
「うんうん、最初が無臭ならセックスの後の自分の匂いだって一松兄さんに抱かれてから出来たものなんだよ、十四松兄さん」

つまり一松由来の100パーセント一松製の匂いなんだよ、メイドイン一松のフレイバーなんだよ、とツッコミにあるまじき造語力で説得する兄と弟に、十四松だけは目をとびきり輝かせてくれる。
うちの五男が異常にバカでよかった!たぶん他の兄弟なら途中で呆れられてしまうだろう力説をきいてもらえた!と内心喜ぶチョロ松、トド松。
体調に関して無頓着そうなカップルの片割れへどうにかセックス前にシャワーを浴びるという観念を植え付けたが、無香料のソープはあっても無臭なわけではないということは言わないでおこう。



ニャンニャンニャン



浴室から戻ってきた三人はなんだかどっぷり疲れていた。

「まさか十四松がここまで恥ずかしがるとは」
「ていうか結局ボクまで準備させられたし」
「お尻じんじんする……」

全身ピッカピカになったのは良いけれど一々大騒ぎした五男のせいで気分は満身創痍だった。

「ラブホだったら追い出されるレベルの大騒ぎだったな」
「……最初は痛くてもちょくちょく自分で解してれば柔らかくなってくからね十四松兄さん」
「コイツのことだから触手できるよ〜の感覚で腸内うねれるかと思ってたし何もしなくても濡れるものかと思ってた」
「同じ親から生まれた兄弟の体をなんだと思ってるの」
「ねえねえ解すのってどこでやってるの?銭湯の中じゃないよね?」
「当たり前だろ?誰もいないときのトイレとか、あと自慰のついでとかだよ」
「ほんと赤裸々に答えるな!素直薬怖いわ!!……ボクはジムのシャワー室とかだよ」
「……トド松それはやめときなさい、迷惑だしバレたら変態だと思われる」
「えー?誰もいないとき見計らってるから大丈夫だよ」
「駄目だこの末っ子……もう僕も同じとこ通おうかな、心配だし」
「ぼくも行きたい!!準備の仕方もっと教えてもらいたいし!」
「兄さんは絶対バレるから駄目!!」
「いい?とにかくトド松はジムで解すの禁止ってか一人でジム禁止、僕か……カラ松誘って一緒に行きなさい」
「えー?やだよ恥ずかしい」
「ジムに通えばアイツ逆ナン待ちする日も減るし筋トレしてる最中に猫達に邪魔されて怪我とかしなくなると思うよ」
「……わかった」
「素直でよろしい、十四松は……慣れるまで指一本しか入れちゃ駄目だよ、お前乱暴にしそうだから」
「がってんしょーちのすけ!!」
「さて、そんなわけで本番いきます」

はぁ、と一息吐いたチョロ松はおそ松のところまで布団をめくり仰向けで寝ている彼のズボンとパンツをずり落とした。

「おっ、ラッキー半勃ちしてる……エロい夢でも見てるのかなぁ」

おそ松の性器をみて嬉しそうに愛しそうに呟いたチョロは、生唾を飲み込みソレに手を伸ばした。

「ちゃんと撮影してる?」
「うん……おそ松兄さんの顔でしょ?標準合わせてセットしてるからさっさと終わらせて」
「十四松よく見てなよ」
「……なんで自分の恋人のおっ勃てたち○こ抵抗も無くひとに見せられるのかわかんない」
「お前らだっておそ松兄さんの弟だからね」
「意味がわかんない……とりあえず一万歩譲ってカラ松兄さんのは見せられてもボクのは絶対見せないからね」
「……さてはトド松、おそ松兄さんのよりお粗末だから恥ずかしいんだ?」
「そんなことないけど!ていうか六つ子なんだから大差ないでしょ!」

こんな風にツッコミの二人がボケに回っているため、十四松はどうしていいかわからない、というか尻の穴がジクジク傷むのでおとなしくしていた。

「そういえばトド松さ、フェラってしたことある?」
「セクハラで訴えるよ?……そりゃ……何回かあるけど」
「じゃあ教えて」
「…………は?」
「丁度そこに良い実験台がいることだし」
「いやいやいや、カラ松兄さん気持ち良さそうに寝てるし」
「だからもっと気持ちよくさせてやるんだよ、カラ松がイヤなら一松でもいいけど」
「絶対だめ!」

と、同担拒否の十四松が一松に覆い被さるように抱き付きトド松を威嚇した。

「そんな気ないから大丈夫だよ十四松兄さん……あのさ?カラ松イヤならってなに?カラ松兄さんのイヤならボク誰にフェラしたって言うのさ」
「じゃあカラ松にフェラできるんだな」
「逆にカラ松兄さんにしかできないから」
「じゃあやって見せて」
「なんでそうなるの!」
「プラチナチケット」
「う……」
「あとお前もう一人好きな歌手いたじゃん、デュオやってる子で「ボクにちょっと似てて可愛いよねぇ」とかほざいてた」
「……」
「入手してもらえるよう頼んでみるけど?」
「わかったよ」

現金な弟だった。

「ううっ……フェラ顔なんてカラ松兄さんにも見せたことないのに」

半泣きになりながら布団をめくりカラ松のズボンとパンツを下ろすトド松、パンツにクソプリントがしてあって腹が立つ。

「え?ないの?」
「うん……変な顔だから目瞑っててって頼んでる」
「……お前、自分が逆の立場だったら言うこと聞く?」
「………………クソ松兄さん噛み殺す」
「やめてあげて、視覚的に痛いから」

カラ松の膝の頭に垂れかかって真っ赤な顔を隠す末弟に苦笑しか出てこない三男。

「あ、ほらティッシュどうぞ」
「へ?」

ティッシュ箱を差し出すと真っ赤な顔でトド松がそちらを向いた。


「なに?」
「だからティッシュ、傍にあった方がいいでしょ?」
「へ…………?」
「……」
「……あ」
「ごめん、なんでもない」

更に顔を赤くしたトド松はやっぱり無理だと言ってカラ松のパンツとズボンを引き上げてしまった。

「きもちいフェラはおそ松兄さんに教えてもらいなよ、恋人が最初から巧くてもなんかヤダよきっと」
「そうだね、うん……ハハハ」

変な空気になってしまったがチョロ松によるおそ松の睡眠姦は再開された。
トド松は「ごめんね、寒かったでしょ?」とカラ松に布団をかけ頬っぺたに口付けを落とし、カメラをとった。
十四松は一松に覆い被さったままチョロ松の様子を見ることにする、けたたましい心臓の音と熱いほどの体温が一松に伝わってしまっていないか心配だ。

「ふふ……これからお前の体を好きにできるのかと思うとゾクゾクするよ」

悪人面で悪人台詞を吐くチョロ松。

「一方的にしたって虚しいだけだと思うけどね……」

というトド松の呟きも聞こえていないようだ。

「おそ松兄さん……気持ちよくしてあげるから僕に任せて」

だから意識のない人間に向かってなに言ってんだと思う、この三男の行動におそ松の兄弟として腹が立ってきたのでチケットもらってライブに行ったら全部おそ松にバラしてしまおう。
そう心に決めたトド松はあることに気付いた。

(えっ?)

「おそ松兄さん……」

チョロ松はおそ松の上着のボタンを外してはだけさせ首筋をツーっと舐め上げた。

「ん……おいし……」

自分と同じものを食べているのに、おそ松の汗の味はどうしてこう甘いのだろう、他人のものなら肌に触れるのすら気持ち悪いのにおそ松のものなら吸い付くしてしまいたい。

「にいさん」

脇腹をなでながら鎖骨をハムハムとくわえたり放したり繰り返す、本当は歯を立てたりキスマークをつけたいけど我慢して代わりに舌で愛撫する。

「ん……トド松の気持ちわかるかも」
「へ?」
「おそ松兄さんのヘソ……ちょっと可愛いと思ってんだよね」
「……チョロ松兄さん」
「昔はここで、みんな繋がってたんだよね……だから、なんかいとおしい」

そう言ってヘソの周りを指で撫でた後、チョロ松はおそ松の胸に頬を寄せた。
どくどくと早鐘を打つ心臓、眠った状態でも快感を拾ってくれているんだろうか……それなら、普段言えない素直な気持ちも吐き出せるのかもしれない。

「はぁ……おそ松、すき……大好き、お前の心も体も……ぜんぶ」
(……やっぱり、もしかして)

何かに気付いたトド松はパッと首だけ動かし、一松と十四松を見た。
チョロ松の声と愛撫の音に興奮した様子の十四松が一松の体に全身をすり寄らせている。
そして一松は……

「チョロ松兄さんストップ!兄さんたち起きてる!!」
「「えっ!?」」

チョロ松と十四松が体を制止させた瞬間、おそ松と一松、そしてカラ松の瞳がパチリと開いた。



ニャンニャンニャン


「昨日お前らの飲み物にコイツがデカパン博士の薬盛ってんの見て、昼間にデカパン博士のラボ行ってなんの薬を渡したのか聞いてみたんだ」
「あっ……」
「そしたら強力な下剤と睡眠薬って教えてくれて、なんに使うんだろうと思いながら一応解毒薬もらっといたわけ」
「んんっ」
「で、コイツが俺とカラ松と一松の飲み物に薬盛ってるの見えたから、そのあとでこっそり二人を呼び出して解毒薬飲ませたんだよ」
「あっ……あっ……」
「俺たち三人に睡眠薬盛ったみたいだから寝たフリして何企んでんのか暴こうぜーーって……そしたら、こんな」
「あぁん!!」

と、おそ松がこれまでの兄サイドの経緯を教えてくれたのだが

「ごめん兄さん五月蝿くて気が散るから手を止めて説明してくんないかなぁ?」
「えー?ちゃんと聞こえてるでしょー?」

十四松とトド松は正座をさせられ、おそ松の前に座らされているのだが一番悪いチョロ松はおそ松に抱き抱えられ先程からあられもない声を上げている。
多分おそらく冠合わせの真っ最中なのだが、本当やめてほしい見せ付けないでほしい、自分たちまでなんだか変な気分になる。

「おそ松、それ以上やるなら場所を移せ、さっきまで三人が使っていたなら風呂場がまだ温かいだろ」
「おー、了解了解、お前が見せた準備ってやつ俺も教えてもらいたいからな」

これからなら準備じゃなくて後処理になるんじゃないか?と思わなくもないが、この二人がさっさと出ていってくれるならそれに越したことはない。
おそ松に抱えられたまま退室してゆく三男を見送って、五男と末弟は安堵のため息を吐いた。

「さて、ボクもう明日早いから寝よう」

特に用事はないけど多分家の中の空気がアレなことになっているので一日中ジムに行っていようと、思いながら布団に入ろうとしたトド松の腕をカラ松が掴む。

「……なに?」
「オレ達も場所を移すぞ」
「は?なんで……」
「先輩として場所は譲ってやるべきだろう」

そう小声で言いながら目線を横に流すカラ松に、トド松も釣られてそちらを見ると、布団の上で向き合ってモジモジしている四男と五男の姿が見えた。

「一松にはオレとおそ松が色々教えているから大丈夫だと思うが……」
「わかった、降りよう」

皆まで言うな、この後の展開は解ってる、二人はこっそりと部屋を出た。
当初の希望通り次男と二人でコタツで寝ることになったなぁと思いながら階段を降りる末弟はまだ知らない。
自分が居間に入った瞬間、臨戦態勢の次男から押し倒されてしまうことを……






end

自分は多分ギャグならエロ書けるかもしれないなっておもいました