雪げども灌がれ
カラ松が倒れた日から約三ヶ月、おそ松とチョロ松はチビ太の屋台でしみじみとあの時の事を思い返していた。 イヤミの車に乗せてもらった話をするとチビ太は「イヤミもいいところあるんだなぁ」と嬉しそうに笑う、あんだけ騙された相手にそんな顔が出来るのだから人としてデカいんだと思う、チビだけど。 「でもさーあれからアイツらちょっと変じゃねえ?」 「あ、兄さんもそう思う?」 「アイツら?」 「一松と十四松とトド松だよ」 大きな瞳に疑問の色を乗せチビ太が訊ねると、四つに切った大根を口に頬張りながらおそ松が答える。 「変ってどう変なんでぇ?」 「えっと……」 あの後、暫くトド松はカラ松にベッタリだったがこれは家族全員予想していたので気にしない。 「そうなのか?まぁアイツら昔はよく一緒にいたもんな……思い出したら腹立ってきた……」 「それはそうと、意外というか不思議なのは一松と十四松がトド松にベッタリするようになった事だ」 もともと上三人の兄弟達よりスキンシップは多かった(一松が十四松にじゃれつかれ、その二人にトド松が僕も混ぜてーーという構図)が、今は一松と十四松の方がトド松に付いて回っている。 一人で出掛けるのを阻止したり、風呂に三人で入ったり、カラ松入院中はカラ松の寝場所にトド松を押しやり一松と十四松で挟んで寝ていたり(トド松はカラ松兄さんの匂いがして眠れないんだけど、とカラ松に苦情を言っていた) かと思えば母の言い付けの買い物や草むしりを手伝わせたり、野球や色んな遊びに付き合わせたりもしていてトド松にはスマホを弄る時間すらない。 「まるでトド松を見張ってるみたいだ」 「一松に見張られるってソートーだな」 六つ子の中で一番危ういのは一松だとチビ太も認識している、ただエスパーニャンコの件以来すこしずつだが兄弟達に本来の自分をさらけ出すようになってきた。 負の感情もカラ松やトド松を使い発散するのでそこまで身の内に溜め込んではいないのではないか?とチョロ松は言う。 「じゃあ、カラ松が病み上がりで手を出せないからその分トド松で発散してるとか……」 「それにしては様子が変なんだよ、あとカラ松への暴力は減ったけど無言の圧力というかキレた目線は前より送ってるからな、一松」 どこか責めたような眼でじっとカラ松を見ていることがある、初めは散々心配かけたことへの怒りだと思っていたが違うのかもしれない。 「あと、こないだ何か三人で深刻そうな顔で話してたからこっそり聞き耳を立ててたら 『ボクと一松兄さんはトド松の味方だよ!この家に居づらくなったら一緒に出てくから、ね?一松兄さん』 『ああ……』 『もう……僕は大丈夫だよ兄さん……だからそんなこと言わないで』 って会話をしてた」 「……あの我が家パラサイト度ではワンツーフィニッシュの一松と十四松が?」 「まぁそんなことこのおそ松お兄さんが許しませんけどねぇ」 絶対阻止してやるククク……と笑うおそ松のオーラにチビ太は震え上がった。 「怖ぇよ!自立させてやれよ!つーか兄弟の声マネ上手いな」 「でもさぁ一松と十四松が働くとか無理じゃない?絶対三人揃ってエグザイルになるよ」 「エグザ……放浪者?」 「そうそうだから四肢切断してでも家に繋ぎ止めといた方がいいの」 「だから怖ぇよ!一松じゃあるめぇし冗談でもそういうこと言うもんじゃねぇ!」 「……一松ならやりかねないって思ってんのかよ」 「せめて鎖に繋ぐくらいにしとけ」 「それもそれで……」 子供時代にギャグをやり過ぎで拘束系への認識がズレているチビ太に憐れみが隠せない。 「まぁ、あの三人がベッタリしてんのは端から見てて可愛いからいいんだよ、トド松が兄達からいいように扱われるのなんか今更だし」 「……おめぇらヒデェな、カラ松に対してもヒデェって思ったたけどアイツにもかい」 そんなチビ太に憐れまれる、カラ松とトド松が今回の主役だった。 69 69 69 69 69 69 松野家次男松野カラ松。 オザキをこよなく愛す彼の行動はいつも見る人にオザキってなんだっけ?という疑念を抱かせてしまう。 「なぁブラザー、俺と罪深き乙女達の楽園へ誘われないか?」 たとえばオザキはこんなこと言わない。 恐らく新しく出来たケーキ屋へ一緒に行かないかというお誘いだが家族以外は理解不能だろう。 「え?うん!行く行くー!」 女子ウケしそうな物はだいたい好きなトド松は二つ返事で了解した。 最近女子と遊んでいないので無理に会話のネタを拾うことはないが、カラ松からの誘いが単純に嬉しかったのだ。 すると近くにいた十四松が「僕も行くー」と二人の腕を掴んできた。 「お?いいぞ……けどお前ケーキ好きだったっけ?」 「うん、かっけーから好き!」 「かっけー???」 「うん、カラ松兄さんもトド松もかっけーよ」 これは語彙が少ないだけのような気がするが、カラ松とトド松は満更でもなさそうな顔をしている。 ただ「うまい」とは言っていないので味よりも見た目が好きなのだろう、一緒に一松がいれば半分こして食べれるんじゃないかとトド松が彼を探すと、彼の方もトド松の方を見ていた。 「おい」 そう言って一松は一枚の紙をポケットから取り出し目の前に翳してみる。 「……ひっ」 それを見た途端、息を引き攣らせたトド松にカラ松は「え?」という顔をする。 トド松が一松の手からそれを引ったくると、ニンジンや玉ねぎなど食材の名が羅列されているだけだった。 「え?」 「母さんからのお使い、出掛けるんだったら帰りに買ってきて」 と、財布も渡される。 「……」 以前なら、兄さんが頼まれたんだから荷物持ちに付いてきてよくらい言えたが、今は無理だ。 トド松は一松や十四松の言うことに黙って従うしかない。 「しょうがないな、いいよ!十四松兄さんもいるし」 「うん、ぼく荷物持つ」 「俺も」 「カラ松兄さんは……」 正直まだ荷物なんて持たせたくなかったが、軽いものならいいかとトド松は口を結んだ。 兄の矜持みたいなものが彼にはあるから、ちゃんと汲んでやろう。 そして出掛けた道すがら、カラ松の様子をちらちら見ているトド松に十四松が語りかけた。 「トド松最近あんまりスマホ見てないなー」 「え?そっかな……そういえば女の子とあんま連絡とってないかも」 「そうなのか?よし新しい出逢いを求めるというならこの兄が……」 「ていうかカラ松兄さんを見てるよね」 「ッ!」 カラ松がまたかっこつけ出したのでスルーかツッコミか迷っていると六つ子の核弾頭から爆弾を落とされた。 トド松がカラ松を好きなことは内緒にしてくれると約束したが、こういうことでバレる可能性があるとは思っていないんだろう、トド松は冷や汗をかきながらどうにか誤魔化そうと口を開いたが、その前に十四松がカラ松の手を両手で挟んでるのが見えた。 「兄さん達も父さん母さんもみんなカラ松兄さんのこと見てるよ、だからあんまり心配させないでね」 「お……おお……」 (ああ十四松兄さんが良い子で本当助かった……カラ松兄さんも嬉しそうだし) 自分がカラ松を見ていると指摘された時に咄嗟に見てしまった顔はどこか戸惑っていたが今は嬉しさを噛みしめるような表情をしている、トド松は自分じゃこんな表情をさせられないんだと眉を顰める。 こんな醜い感情は女の子たちと同じテンションでお喋りしていればその間だけは忘れられるのにカラ松が入院中は毎日お見舞いに行っていたしカラ松が退院してからというもの必ず一松か十四松が傍にいるもんだから全然女の子と遊べていない。 なんせ一松と十四松は『トド松はカラ松の為なら死ねる』を身をもって体験しているものだから過保護なのだ。 それだけならまだよいが二人は握った弱みは容赦なく使う派と善意で弱みを突いてくる派だったから、お使いを頼んできたり、こんな風にトド松の前でもカラ松を喜ばせてしまう。 「本当に生きててよかった」 「うん、そうだね」 しみじみと呟かれた言葉にトド松は同意する、自分もあの時死んでしまわなくてよかった。 そう思うとやはり命の恩人の二人には頭が上がらず、ちょっとした頼み事なら引き受けなければならないと思うし、十四松のする事は全て大目にみなければならない(そもそも十四松へ対し怒ることは滅多にない)と思っていた。 大きな溜息を吐くとカラ松はトド松の顔を覗き込み、心配げに眉を寄せた。 「トド松、大丈夫か?具合悪いなら帰るぞ」 「……」 顔が近い。 自分と同じ顔の男なのに、いつも隣で寝ている顔なのに、どうしてこうもドキドキするのか不思議だ。 「大丈夫……ちょっとイヤなこと思い出してただけ」 「そうか……すまないな」 話の流れ的に自分が倒れた時の事だろうと察したカラ松はそれ以来めっきり喋らなくなってしまった。 代わりに十四松が二人の間に入ってニコニコとトド松に話しかけてくるので救われた気分になった。 (んーー最近やっぱおかしい) カラ松は横で実のない話を咲かせている弟二人を横目に見ながら首を傾げる。 実は退院以来トド松が自分の方をチラチラと心配そうに見詰めていることに気付いている、だから安心させようと出掛ける時は彼を誘うようにしたり、彼の行きたがりそうな場所を見つけると連れて行こうとしているのだが、毎回一松や十四松が付いてくるのだ。 もしや、己のトド松に対する不届きな想いに気付いた弟達が邪魔しているのだろうか……だとしたら無駄なことだ。 カラ松はトド松を好きな気持ちを止めるつもりはなかったし、その気持ちを伝える気もなかった。 伝えれば優しい弟はもしかしたら応えてくれるかもしれないがカラ松は自分の気持ちの重さにトド松が耐えきれるわけがない、だから―― 「もうっ十四松兄さんったら何でも野球にもってくんだから」 「えーえへへ」 弟たちが仲睦まじく歩いていても寛大に許してやらねばならない、いつものように自分の世界に入り込んで、思考の深淵に沈みこんで…… ――カラ松兄さんイッタイよねぇ 駄目だ。 無意識に思い浮かべてしまうのは複数のカラ松ガールの笑顔でもガールたちの黄色い声でもない、トド松の呆れた顔と辛辣な声の響きになってしまった。 心臓がドクドクとなっている、ずっと眠っていた心臓が目を醒まし牙を剥いて彼に襲い掛かってしまいそうになる。 駄目だ。 どうか耐えて欲しい、重すぎるこの想いがトド松を潰してしまわないように、あの笑顔が翳ることのないように、兄として耐えなければならない。 ――兄として?じゃあ男としては? 心の中で愛しいお前が語り掛ける……本当のお前はそんなこと言わないのに―― 「カラ松兄さん?お店着いたよ?」 ハッとすると、桃色と黄色のパーカーを着た弟達が両腕を掴んで顔を覗き込んでいた。 自分の世界に入り込んだまま目的地まで歩いてしまったのか、一人の時は危険だから気を付けよう。 「カラ松兄さん、梨タルトあるよ?」 「……お前は人の傷をえぐることを……」 「僕もタルトにしようかな……あ、二人ともどうせ食べきれないだろうから僕と半分こする?」 「ああ、それでいいぞ」 「やった!」 これで二種類食べれると、甘い物が特別好きでもないのに喜んでいるトド松に自然と笑みが零れるカラ松。 トド松は三人で二つのケーキと三つもらったフォークを乗せたお盆を持ってイートインスペースまで運んだ。 各自で頼んだ珈琲のカップは十四松が自分の分を持って、カラ松が自分とトド松の分を持っている。 テーブルに座りお盆を中央に置いたトド松の前に、立ったままのカラ松がそっとカップを置く、トド松はこんな瞬間が大好きだった。 飲み物を自分に差し出してくれる手も、彼の後ろを照らす光があることも、見上げた先に彼の顔があることも、全てが尊い。 「ありがと」 「ああ」 「いっただきまーす!半分こねトド松」 「うん」 こうしてクズニート兄弟のうち三人が和やかにオヤツタイムを楽しむこととなった。 69 69 69 69 69 69 そして残りのクズニート達たちの長男三男は自宅二階にてクズニートらしく、おどろおどろしい雰囲気の中で四男に詰め寄っていた。 「なあ一松、兄ちゃんに教えてくれよ?なんで最近お前らトド松にべったりなの?なんでトド松は大人しくお前らの言うこと聞いてんの?」 「別に……そんなことないけど」 『カラ松をけしかけてトド松に告白させる為』 「チッ」 チョロ松の抱えたエスパーニャンコが一松の本音を吐き出す。 最近の様子を不審に思った兄達はニャンコを使って自白させる気だ。 そしてニャンコは人質ならぬ猫質の役割もしている(兄達が猫に危害を加えるとまでは思っていないけれど) 「へ?」 「カラ松ってトド松が好きなの?」 「そうだよ」 『ああバレちゃった……アイツとの約束だったのに』 一松はふいと目を逸らすと、カラ松が入院している時のことを思いだした。 あの一件でトド松がカラ松を死ぬ程好きだと知った彼は、カラ松の方はどうなのかと気になった。 でもあの時一松は既に薄々とカラ松の気持ちに気付いていただから言ったのだ。 ――遺言を交換しないか――と、もし自分が早く死んだら、自分が一番好きな奴に伝言を伝えて欲しいと兄に頼んだ。 その代わり一松もカラ松の遺言を預かる、そして彼が死んだあと彼の一番好きな相手にそれを伝える、別に告白じゃなくてもいい。 伝えたい言葉があるなら教えてくれ、ただし必ず本心で、そう言ったらカラ松は「俺が死ぬまで内緒だぞ」と一松に遺言を託してきた。 『世界で一番大切な人、トド松に「どうか泣かないで、幸せになってくれ」って』 おそ松とチョロ松は絶句する。 「……告白させようと思ったの?」 「それはちょっと酷いんじゃ……」 「酷くないし、だってトド松もカラ松兄さんが好きだし」 幸せになって欲しいと願ったのだ。 世間体とか常識とか気にするようならこんなところで燃えないゴミなんてやっていない。 他の奴らが何と言っても一松は大事な兄と大事な弟に宇宙で一番好きな相手と結ばれてほしかった。 「もういいでしょ、俺もう出掛けるしエスパーニャンコも放してやってよ」 「いや、待てお前はそうでも十四松は可笑しいだろ?なんで今日もアイツらに着いて行ったの?ケーキなんて興味ないのに」 「それを答えるまで逃がさねえよ」 「知らないよ、十四松の考えてることなんて」 『十四松にもエスパーニャンコを使われたら厄介だな、そもそもアイツ隠し事とか下手だし』 「ほらやっぱ知ってんじゃん」 『チッ出口を塞いでやがる』 チョロ松が扉に寄りかかって立っているので逃亡は不可能だ。 『トド松みてえに窓から飛び降りる勇気はねえし』 「……この馬鹿ねこ!!」 「え?」 「え?」 「どういうことだ?」 万事休す。 こうなってしまっては本当の事を話すまで二人の兄が諦めてくれる筈はない。 一松はその場に座ってあの日あったことを全て話し始めた。 数十分後、出掛けていた兄弟達の「ただいまー」という声が階下から聞こえてきた。 買ってきたものを冷蔵庫にしまったら三人は一度この部屋に上がってくるだろう、一松に御使いが終わったと報告する為に―― 「兄さん達ただいまー」 「ただいま」 「ただいま、一松兄さん言われた通り買い物してきたよ……」 予想通り元気に入ってきた十四松、カラ松、トド松、三人が完全に入室してきた瞬間、おそ松がトド松の腕を引き強く抱きしめた。 「お、おそ松兄さん?」 「……」 戸惑うトド松のことは構わずおそ松は無言でトド松の背中を撫でる、慌てて十四松が止めようとするが、後ろから一松が羽交い絞めにし口を塞いだ。 そして「大丈夫だからじっとしてて」と彼にしか聞こえないよう囁くと十四松は大人しくなった。 「ちょ!おそ松兄さんほんとどうしたの?やめっ」 おそ松が背中を撫でていた手をズボンの中へ差し込むと、トド松が怯えたような声を上げた。 次の瞬間、おそ松の身体が横に吹っ飛んだが、チョロ松が素早くカバーをしたのでどこにもぶつかることはなかった。 「……」 「……」 カラ松が、おそ松を殴り飛ばしたのだ。 兄弟のリーダー格である長男おそ松を、参謀役のカラ松が、あの……温厚なカラ松が殴った。 ――嘘……? 怒りを露わにし殺気すら漂うカラ松を見てトド松は信じられないというような顔をし、おそ松は不敵に笑った。 「フッ、カラ松ぅお前大丈夫かよそんなんで……」 「なにがだよ?」 その声は、低い。 「六つ子の兄弟の俺が触っただけでそんな顔してんのに、この先トド松に恋人が出来たりしたらお前耐えられんの?恋人は女とは限らないよ?」 「えっ?何言ってんの兄さん」 すると、おそ松は今度はトド松の方をみて優しく声をかけた。 「ごめんな、怖がらせちまって、安心しろ二度とあんな風には触んねえから」 「え……?うん、そうしてください」 本気で怖がっていたのか思わず敬語が出ている。 「あと、もう一つゴメン、あの日病院であったこと、一松から無理やり聞き出した」 「エスパーニャンコ使ったから一松は誤魔化しようがなかったよ」 おそ松のあとにチョロ松がフォローに入る、トド松は頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。 あの日病院であったこと、つまりトド松がカラ松のドナーになろうとして窓から飛び降りかけたことだ。 そんな一生の黒歴史を長男と三男に知られてしまったからには……二人とも穏やかな表情をしているが本気で怒っているだろう。 だからこその、この仕打ち。 「カラ松、はいコレ」 と、言いながらおそ松が一枚の紙を先程自分を殴った次男に渡す。 怒りを抑えながら渋々受け取ったカラ松の顔が、だんだんと驚愕の色へ染まっていく。 トド松は恐怖と絶望で、足が一歩も動かせない。 「……トド、松?」 「あ……」 カラ松と目が合う、呼吸も上手く出来ない。 あれは正真正銘トド松の遺言『僕の心臓をカラ松兄さんにあげてください。 トド松』と書かれた紙だ。 「トド松、それを書いて自殺未遂を起こしたんだって」 「ッ!?」 「一松と十四松が助けなかったら本当に危なかったって」 「……」 カラ松は一松と十四松の方を見る、二人は不安そうにコチラを見守っていた。 最近様子がおかしかったのはその所為だろう、誰だって弟に目の前で自殺されかければ怖くもなる。 そしてカラ松は再びトド松の方へ目線を戻した。 可哀想なくらい真っ青な顔をした弟……否、今は弟としてじゃなく一人の男として人間として、愛しい。 「トド松……「死んでもいい」って言ったんだって……お前なら、意味解るよな?」 ああ、知ってる。 けど、トド松の気持ちはトド松本人から聞きたい、自分もちゃんと伝えるから―― 「先下に降りてる、お前らが降りてくるまで二階には上がってこないから」 そんな声が背後から聞こえるが、もうカラ松の目にはその存在しか入って来なかった。 ぞろぞろと四人の兄弟が部屋の外を出て行く気配を感じながら、カラ松はトド松へ近づく。 一歩近づくごとに飛び跳ねて後ずさる、自分より少しだけ細い体、捕らえたい、捕まえて自分のものにしてしまいたい。 「トド松」 兄弟達が全員外に出たと同時に、カラ松はその体をかき抱いた。 END この後は多分、トド松が言い訳を始めたのをカラ松がキスで黙らせて告白、そのあとトド松も泣きながら告白……んで勢いのまま最後まで行っちゃう流れだと思うんですが自分にそんなスキルないのでどなたか代わりに書いて下さい(本気) ていううかエスパーニャンコの無駄遣いでしたね、ごめんよニャンコ トド松はカラ松の為に命掛けられるけどカラ松もトド松を庇って死にかけるくらいのことはします(私の脳内カラトド怖いよ) |