フィギュアヘッドとハンティングトロフィー

属性松カラトド・おそ←チョロ・なかよし数字松。世界観はそんな変わりませんが各人に属性ある設定


古より語り継がれる神話によれば今からおよそ八十一万年前、この世界は誕生したとされる。
まず、光が生まれ、それと同時に闇も生まれた。
次に、地が生まれ、それと同時に火が生まれた。
次に、水が生まれ、それと同時に風が生まれた。
あくまで神話上での設定で、この世界の住民たちが皆それを真実としているわけではない。
ただ、その六つの要素を身の内に宿すものが存在することは人々の中に広く知れ渡っていた。
この国ではそれを『属性』と言い。
同時に生まれた、光と闇、地と火、水と風、それぞれの属性を持つモノは対極にあるとされ、それによって世界の均等が保たれているとも言われていた。
さらに、光と火と風を陽の気、闇と地と水を陰の気、と大きく二つに分け、同じ気を持つものと共にいることにより気が高められるとも……

「だからダスか?」

この子たちのことはよく知っている、昔は皆揃って一色だった。
いつしか自分自身の色を持つようになった六つ子の六分の二、緑色と桃色の子どもの瞳を見てその人は焦燥したように息を吐いた。

「覚悟は強いダスな……」

ここで自分が断ったとしてもきっと違う手を探すだろう、二人が大人の言うことなんて聞かないのはよく知っている、それならまだ自分の見守れる場所で自由にしてくれていた方が安心というものだ。

「解かったダス、前例はないから上手くいくか解からないけど君たちは六つ子同士、他人同士より成功する確率は高いかもしれないダスし……」
「ほんと?」
「やった!」

硬かった顔がようやく彼ららしい反応を見せたが、理由が理由だけに安堵はできない。
博士は二人に十日間の猶予をもらい、二人の願いを叶える準備をすると言った。
その間に気が変わったら知らせてほしいとも言ったが二人はそんなことあるわけないと首を振る。
博士はその通りだろうな、と解かっていた。
だって二人の願いの強さを知っているから、幼い頃から傍で見ていれば解かる、自覚が無いのは想われている相手くらいだろう。

チョロ松はおそ松の最高の相棒でありたかったし、トド松はカラ松の最高の相棒でありたかった。
その為に出来ることは、たとえ自分の命を削ることだろうと厭わない。
十日後、博士がそう告げた時、ふたりはそれでもいいよと頷いたのだ。

「なにー?チョロ松とトド松も属性に目覚めたの?」
「へぇ?何属性だ?」
「えっとね、ボクが地属性で」

と、末弟。

「僕が風属性だよ」

と、三男。

「へぇー」

家へ帰り、久しぶりにカラ松に抱き付いたトド松に彼は頬を緩めて「ご機嫌だな」と言った。
それにチョロ松が「僕とトド松も属性に目覚めたんだよ」と答えると長男も寄ってきたのである。

「そうか、オレとは相性がよくないが水と風なら近寄れないほどではないな、チョロ松」
「俺とトド松もなぁ、まぁ本調子で動けないくらいで日常生活に支障はないだろ」
「だな」

火属性の長男と水属性の次男はそう言う、この二つの属性も相性は悪いが一定の距離を保っていれば何も問題はなかった。

「ねぇそれよりもさ」

末弟がそんな二人の間に入ってみると、成程たしかに長男側からは何かチリチリ焼かれるような気を感じ、次男側からは清らかな気を感じる、トド松はカラ松の腕をぎゅっと握ってみた。
それぞれ対極にある光と闇・火と地・水と風は相性が悪く、同じ気のグループに属している光と風と火・闇と水と地は相性がいい、ならば“今の”自分達の相性は最高の筈だ。

「カラ松兄さん地のボクと一緒にいてどう?力みなぎってくる?」
「ん?ああ!そうだな、森の中にいるような心地よい気を感じてとてもハッピーだ」
「そっかぁ」

微笑むカラ松に痛いとツッこむのも忘れてトド松も嬉しそうに笑う、おそ松もチョロ松にくっついて「本当だ」と微笑んだ。
"今の"チョロ松の持つ風の気はおそ松の中にある火の気を高めてくれている、チョロ松の風も一緒に引き上げられているようだった。
属性に目覚めるということは非常に珍しく、それが家族に四人もいるなんて世界で松野家だけではないかと思う、しかも血縁者は同じか同系の属性を持つことが殆どなのに、全員バラバラなんて更に稀なことだろう。

「これでアイツらも違う属性に目覚めたら俺達六つ子で属性コンプリート出来るな」
「駄目だよ、だってあと残りって光と闇じゃん」

光と闇は六属性の中で最も相性が悪いとされている、傍にいて感じる苦痛は他属性よりも強い、一緒にいることの多いあの二人がそうなってしまうのは可哀想だとチョロ松は咎めるように言う。
それにおそ松が「まぁな」と返したその時、玄関の扉を開く音が聞こえた。

「お、帰ってきたな」

出迎える為に立ち上がった長男を三男がほんのすこし寂しげに見詰めてすぐに顔を逸らす。
カラ松へ対し好き勝手にくっついたり離れたりするトド松とは違い、甘えベタなチョロ松は自分からおそ松と触れあえる機会は少ない、彼と相性の良い属性に目覚めた今日はそれを確かめる為に自分から触れるチャンスだったのに、他の兄弟が帰ってきてしまった。

(一松兄さんも十四松兄さんも、すっごく喜んでくれるだろうなぁ)

長男次男が属性に目覚めた時の二人のはしゃぎっぷり懐きっぷりを思い出して苦笑する、火出して、水出して、暖かい、涼しい、おれはもう長兄ボーイズだよ、松の主役は貴方達です!と言わんばかりだった。
正直意味が解らなかったが兄弟大好きなあの二人はおそ松とカラ松が不思議な能力に目覚めたことが嬉しかったんだろう、トド松だって嬉しかったし誇らしかった。
ただ、不安も生まれてしまったのだ。
火と水という相性の良くない属性に目覚めた兄達は以前よりも距離をとっている、円陣を組む時だって年功序列だったのが相棒別になったし、いやカラ松と隣り合えるのは嬉しいけれど、兄弟の中で離ればなれが出来るのは寂しいと感じ、そして……
『もしボクが、カラ松兄さんと相性の悪い属性だったらどうしよう』
その不安を洩らした先にいたのは三男だった。
トド松がカラ松が属性に目覚めた頃こっそり受けた検査で陽の気が強いと診断され、チョロ松が同じように検査で陰の気が強い診断されたのを知っていたからだ。
『僕だって……おそ松と相性悪い属性になる可能性高いよ』
あの時のチョロ松の泣きそうな顔を思い出して、しゅんと項垂れるトド松に、カラ松が声をかけようとした時。

「カラ松ーー!ちょっと手伝ってくれ」

玄関の方から呼ばれた。

「なんだろ?」
「兄さん達じゃなくて宅配便だったのかな?」
「……ちょっと行ってくる」

トド松に伸ばしかけた手を膝に置いて立ち上がるカラ松、暫くして彼と長男が二階に戻ってきたのを見て三男と末弟は目を見開く。

「え?カラ松兄さんそれ……」
「一松?十四松?どうしたの?」

おそ松が十四松を、カラ松が一松をおぶって部屋に入ってきたのだ。
一松と十四松の顔色は真っ青。
なにがあったのか?しかも一松が素面の状態でカラ松に背負われるなんて珍しい。

「まさか……」
「ああ、まさかな」
「さっきの冗談だったのになぁ」

離れていても微かに感じる、光と闇の気。

「一松兄さん……十四松兄さん……」

十四松に近寄ろうとすれば自分も気に当てられてしまうからと、トド松は一松へ駆け寄る、チョロ松も十四松の方へ。

「布団出して、端と端に寝かせときゃ大丈夫だろ」
「……」
「わかった」

三男と末弟がテキパキ敷いた布団の上にゆっくりと二人を下ろし掛け布団をかける。

「……」

きっと二人は属性に目覚めた時に一緒にいて、そして不調に気付きながらも一緒に帰ってきたんだ。

「デカパン博士に」
「っ!!」

おそ松がその名前を出した瞬間、チョロ松の肩が大きく揺れたが十四松を見ていたおそ松には気付かれなかった。

「属性を抑える薬もらってくる」
「……うん、そうだね」

おそ松やカラ松が必要時に服用し、チョロ松とトド松も属性覚醒して以来十日間お世話になっていた薬のことだろう、あれの一番協力な薬を処方してもらい二人は今日まで隠しとおすことができたが、副作用が強いために常用は出来ないと言われていた。
二人が使うとしたら常用可能な軽い薬、でも、それでは……

「う……」

カラ松が一松の手を握りしめ涙を湛えている、可哀想に、どうしてだと、青ざめ眠る弟の代わりに悔し涙を流しだした。
そうだ。
属性に目覚めた瞬間から、一松と十四松は触れ合えなくなってしまった。

「ボクとチョロ松兄さんで博士のとこに行ってくるからカラ松兄さん達は二人についててあげて」
「俺も博士の話聞いときたいんだけど」
「陰と陽の一人ずつは残っとかないとダメでしょ?運ぶときはさっきみたいにおぶらなきゃだし」

力の強いおそ松とカラ松がいた方がいいと言って納得させる。

「僕の携帯置いてく……」

なにかあったら連絡してとチョロ松はおそ松に携帯を預けることにした。

「じゃあ宜しくなチョロ松」
「おそ松兄さんもコイツらのこと宜しく」
「一松兄さん……十四松兄さん行ってくるね」
「二人のことは任せておけ」

チョロ松は十四松の額を優しく撫で一松の方を痛ましげに一瞥する、おそ松は十四松の手を祈るように握っていた。

「カラ松兄さん……」

ポケットからハンカチを取り出して次男の目元を拭う、ああ、そっか知っているんだ。
鈍そうに見えて、一松と十四松がお互いにどれ程特別な存在かを……

「みんな同じ気持ちだからね」

それだけ言って三男と共に家を出た末弟は、デカパン博士の研究所へ行くまでの道中こんな話をした。

「一松兄さんと十四松兄さんツラそうだった」
「ボクに近付いたカラ松兄さんがあんな風になるのは怖い、触れられないのも……」
「だから、もしチョロ松兄さんが属性を戻したいって言っても聞けないよ」

するとチョロ松はこう答える。

「そんなの僕の台詞だよ」
「この属性だったらおそ松兄さんの属性を高められる、おそ松兄さんの属性を弱めるような属性はいらない」
「このことは兄さん達にも内緒だけど一松と十四松には内緒だよ」

そうすれば触れ合えると知れば一松や十四松も誰かと属性を交換しようとするかもしれない、そんなのは駄目だ。
本来持つものと違う気を取り入れたチョロ松とトド松の体には多大な負担が掛かっているという、きっといつか体にガタがくる。
具体的に言えば属性の根元である心臓付近に少しずつ毒の塊のようなものがたまってゆくという、属性を抑える薬で進行を遅らせることは出来るけどせっかく相棒と相性のよい属性を手に入れたのだからそんなことはしたくない。
結局チョロ松もトド松も我儘なのだ。
ただおそ松やカラ松だって昔から失敗したら命に関わるくらいの無茶をしていたし、自分達だって勝手にしていいだろうという意地もある、一松と十四松も含め全員我儘なのだから。
そんな我儘に付き合わされた博士に薬をもらい一松と十四松に飲ませると二人はなんとか人ひとり分の距離を空けて近付けるようになったが触れてしまえば全身から力が抜けてしまうから外を歩くときは隣合わせにならないよう、寝る位置が闇・水・地・火・風・光の順番に横一列なのはかわりないが布団が二つにわけられてしまった。

そんな中、カラ松がトド松に愛を告白しトド松もそれを受け入れることになった。
というのも二人が両想いなのは元から周知だったけれど『一松と十四松が触れ合えないのに』という思いからトド松から距離をとるようになったカラ松を一松と十四松がけしかけたのだ。
変な気を遣うな、遠慮される方がツラいと……そしてカラ松とトド松は結ばれた。
それから数年。
トド松はカラ松とキスをする度、自分は嘘を吐いて次男を騙しているという罪悪感に苛まれる、それを払拭するためにキスに没頭し積極的に彼を求めていく。
初めて体を重ねた日は、本来の自分の属性であればこんな幸せを感じられなかったのだと嬉しさと同時に悲しくなった。
それでも愛を確かめ合う行為を止められず、二人の体はどんどん作り替えられていく、属性も強くなり二人でいれば気分が良い代わりにトド松の体内にある毒はどんどんと膨れ上がっていった。

「ただいまーー」

ある日のこと、玄関から成人男性とは思えない元気の良い挨拶が二階にいる兄弟達のもとへ届いた。
この声は十四松だな、とカラ松は微笑ましく思う、相棒と触れ合えなくなって今でも時々寂しそうにしている彼だが基本的に明るいところは変わらない。
部屋の中にいるのは自分とおそ松とチョロ松だから彼が近付くなら陽の気をもつ二人の方だ。
三対一ではコチラの陰の気が負けてしまうのでベランダに出ておくか……トド松か一松が帰ってくれば良いのだけどと考えていると階段を上る足音が二つあるのに気付いた。

「ただいマッスルマッスル」
「はっするはっする……」

襖を開け、入ってきたのは十四松と一松。
十四松がいつもどおりにマッスルマッスルのポーズをとると“手を繋いでいた”一松も片手だけ上げ続きをぼそぼそと言う、彼にしてはテンションが高い様子……って

「「「え!!?」」」

一松と十四松が“手を繋いでいる”
数年前まで時々見られた状態が目の前にあることに三人の兄は驚きの声をユニゾンさせる。

「くくっ……みなさん驚いてまんなぁ十四松はん」
「そうでんなぁ兄さん」

ぽかんとしている兄を見て二人とも抱き合うようにくっついてデレデレな笑顔を浮かべていた。
嬉しそうな弟達を見てじぃんと感動を覚えた兄だが、どうして二人がそうできているのか解からない、なにか無理でもしたのかと不安に思いながら長男のおそ松が訊ねると二人は声を揃えて「属性を半分こしたんだ」と応えた。

「属性を半分こ?」
「うん、ぼくの光の属性の半分と兄さんの闇の属性の半分を交換したの」
「え?どうやって?っていうか、それでなんで平気になったの?そもそもなんでそんなこと……」
「はいはい、気持ちは解るけどここは順を追って説明してもらおうぜ」

せっかちに弟へ詰め寄るチョロ松をおそ松がおさえる。
すると十四松はえっとねーと暫く口元に袖を当てて考えたのち、ぽつりと呟いた。

「ぼくが一松兄さんをギュッとしたくて、手を握りたくて、昔みたいに背中を流してもらったり一緒に昼寝したりしたくて」
「いや動機は詳しく話さなくていいよ、解ってるから」
「一松が昇天しそうになってるし」

と、言っておそ松が一松の方にポンと触れる、そして「触っても平気だ……」と感動し始めた。
チョロ松も十四松の手を袖から引っ張り出して両手で包んでみる、光の属性と共に闇の属性も感じるが、不快にはならなかった。

「うん、それで、なんかいい方法ないかって考えて思い付いたのが属性交換だったんだ」
「属性……交換」

手を握ったまま見詰めるチョロ松に十四松は応える。
属性交換と聞いて以前自分とトド松が行った事を思い出し神妙な面持ちになるチョロ松だが、十四松は構わず続けた。

「前ぼくらが概念になったときに、一松兄さんがマイナスみたいになってて」
「十四松がプラスみたいになってたんだよ」
「で、ふたりでくっついたらゼロになったんだ」
「???」

おそ松、カラ松、チョロ松の三人は顔を見合わせて「わかるか?」「いや……」「とりあえず最後まで聞いてみよう」とアイコンタクトをとった。

「だから、おれらの属性が同じ分だけ混ざったらあの時みたいに消えるのかなって」
「デカパン博士にやってもらったんだー」

やっぱりデカパン博士か……とチョロ松は息を呑んだ。
それに気付かずカラ松が「それじゃあ二人とも今は属性を持っていないのか?」と訊ねている、二人から陰陽の気が無くなっているようには感じられない。

「いいや、属性は残ったみたい、陰陽が中和されて無害になってるだけで」
「ぼく一松兄さんの属性も使えるようになったんだよ、一松兄さんはぼくの属性使えるようになったし」
「へぇ、いいなソレ俺もしようかな、火の対極にあるのは地だから……トド松か」
「はぁ?許さんぞ、おそ松」
「冗談だって」
「お前もチョロ松兄さんと半分こすれば?ていうかそもそもなんでお前がおれと同じ陰の気だったのか不思議だわ」
「一松まで」

ケラケラ笑いながら一松と一緒に肩を組んでカラ松を揶揄うおそ松と、背中からどーんと乗ってきた十四松の頭をがしがし掻き回しながら反論するカラ松。
そんな四人を見てチョロ松は携帯からトド松にメールを送った。
デカパン博士のもとへ集合するようにと。

こうして過ごす間にも、他属性を取り入れた体内の毒はどんどん大きくなっていっている。
チョロ松とトド松の体もあと半年もつかどうかだ。
このタイミングで一松と十四松の属性を半分だけ交換したのはデカパン博士からのメッセージだろう。

お互いの属性を本来あるべき場所へ戻せ。
その上で相棒と属性を二等分すれば触れ合うことも可能だ……という。

「トッティなら出来るだろうな」

性格はドライだし、きっと躊躇いなく告白することだってできる。
最初は怒られてもカラ松の最高の相棒でありたかったが故だと言えば赦されるだろう。

問題は自分だ。
トド松と属性交換をした動機についてはトド松に頼み込まれただとか自分もおそ松の最高の相棒でありたかったと説明できる。
けれど、以前トド松と行った時に、属性と共にトド松の“心”も流れ込んできたのだ。
打算的で、金が好きで、目立ちたがりで、愛されたがり、自分だけが贔屓されたいのに皆を選んで平等に扱ってほしい、兄弟を疎ましく思いながら誰一人として見捨てられない、今の場所から抜け出したいと思いながら家族との穏やかな日々が愛おしい、末弟として甘えたいけれど頼りにもされたい、他人を思い通りに操れたらいいのに、他人の意志がもっと尊重されたらいいのに、そんな矛盾だらけの彼の心をあの時チョロ松は見ることができた。
その中で“カラ松”だけを特別に想う心の嘆きをずっと聴いていたと思う。
反対にトド松もチョロ松の心の中で“おそ松”がどれほど大切か聴かされた筈だし、実際あの事が原因でバレてしまった。

つまり属性の交換とは相手に自分の心を見透かされる行為である。

「できるわけない」

チョロ松はデカパン博士の研究所への道を歩きながら地面へ吐き捨てた。
周囲を歩く人の目など気にしていられない。

できるわけないけれど、やらないわけにはいかないのだ。
悩んでる時間だってもう残されていない。
トド松が生き永らえる術を知ってそれをやらないなんて選択肢を選べるわけないじゃないか、そこまで我儘を通すことはおそ松の相棒としても失格だ。
だから、チョロ松の選ぶ道はひとつ。

"トド松へ属性を返したあと、自分はあの家を出て行く"
“そしてもう二度とおそ松に会わない”

そのあとでトド松はカラ松と属性を半分こすればいいし、おそ松は誰とも属性を交換しなくてもチョロ松以外の兄弟全員と再び触れ合えるようになる。
自分はひとりになっても今まで仲の良い兄弟としておそ松と過ごせた記憶があれば充分だ。
あと半年の間に弟を説得し、他の兄弟に気付かれぬように自立の準備をせねばならない。
まずはトド松とデカパン博士に自分の考えを伝え、協力してもらわねば。

そんな風に思いつめた顔をして歩いているチョロ松を発見したトト子が可愛い自分にも気付かずに進む彼に腹が立ち、そっと彼の跡をついていくことになるのは数分後。




おしまい(?)

中途半端ですが、とりあえず書きたいとこを書けたから満足です
今回はオチ要員をトト子ちゃんにしてみました(多分この後チョロ松の自立に協力?してくれたりするんじゃないかと思いますが、別にトト子ちゃんがチョロ松を好きとかそういうことではなく、都心に出てアイドル活動するのにマネージャー兼ボディガードが欲しかったからとかそんなんです)
赤塚先生の生誕81周年なので世界が生まれたの81万年前ってことにしたんですが、漢字にすると八十一で801になりますね(81だよ)